この一冊!その2
こんにちは、お久しぶりです。
天神城戸クリニックの城戸です。
また「この一冊!」です。
前回は、かなり古い本でしたが、今回は、昨年の本です。
「生物と無生物のあいだ
生命とは何か?」
(福岡伸一著 講談社現代新書)
ベストセラーの本ですので、皆さん本屋さんで平積みしていた
ものを見かけたことでしょう。
私は、あまりベストセラーは読まないのですが、
著者の福岡氏が雑誌での対談で、
「
機能性食品は、すなわち
「気のせい食品」。」
「毎日マグロを食べ続けてもマグロ人間にならないように、
フカヒレなど鮫のコラーゲンなどを食べても、
軟骨や体が丈夫になる訳ではない。」
という発言をみて、読んでみました。
読んでみて、
「なるほど読みやすく、ベストセラーになるわけだ。」と
思いました。
本文は、野口英世を筆頭に20世紀の生物学の進歩の解説を
福岡氏自身の経歴を織り交ぜながら解説し、
福岡氏自身が「生命とは何か?」という問題を
自問自答してゆく構成になっています。
日本でこれだけ有名な野口英世氏が海外では評価されていない
理由や生物学上のエポックメーキングなテクニックを
紹介しながら、生物学の知識が少ない方にも、
「
なぜマグロ人間にならないのか?」という
解説をなされています。
実際に読んでみて、私自身が大学院で胃がんのガン遺伝子の研究を
している時(1990年頃)に、実際に使用していたPCR
(目的の遺伝子を増やす技術)や遺伝子の解析方法が
紹介されていて興味深く読むことができました。
しかし、それらの技術に触れたことがない方が
大部分でしょうから、この辺をどの程度紹介するかによって、
本の読みにくさが決まってくるのでしょう。
あまり難しいことを書いても、
多くの方に生物学を分かっていただくという、
この本の趣旨からはずれることになりますね。
ベストセラーの本ですので、近くに読まれた方も多いと思います。
借りて読まれてはいかがでしょうか?
対談で福岡氏が言われていたことの意味が分かると思います。